『忠臣蔵』の主人公・大石内蔵助はフェイク?討ち入りの真相は? 

『忠臣蔵』の主人公・大石内蔵助はフェイク?討ち入りの真相は? 歴史

日本の歴史に名を刻む偉人たちは、私たちがイメージする通りの人物だったのかを紐解いていく、偉人・素顔の履歴書シリーズ。今回取り上げるのは忠臣蔵で知られる赤穂浪士の隊長、大石内蔵助です。主君である浅野内匠頭の仇討ちをすべく、吉良上野介を成敗し、江戸のヒーローになったとされる人物です。仇討ちの真相と大石内蔵助の素顔を紐解いていきます。 

大石内蔵助はフェイク

大石内蔵助はフェイク

 歴史家の加来先生によれば、大石内蔵助について多くの人がイメージする人物像はすべてフェイクと言います。なぜなら忠臣蔵は人形浄瑠璃の作り話だからです。実際にあった赤穂事件をもとに忠臣蔵という物語が作られました。物語に描かれている大石内蔵助と、実際の大石内蔵助はまったく違うというのが加来先生の見解です。 

大石内蔵助の生い立ちと吉良上野介の姿 

大石内蔵助の生い立ちと吉良上野介の姿

 大石内蔵助は15歳で父を亡くし、祖父の養子となり、祖父母から教育を受けました。関ヶ原の戦いがあった時代を生き、槍一筋の戦国時代の考えを持つ祖父と、玉砕を名誉にしている祖母というひと世代前の人物から教育を受けたのが、大石内蔵助に大きな影響を与えています。一方、忠臣蔵では悪者にされる吉良上野介は、領民のために尽くし、地元では神様と崇められる人物です。加来先生から見ても申し分のない人物だったと言います。 

忠臣蔵が人気になった理由と真相 

忠臣蔵が人気になった理由と真相

 仮名手本忠臣蔵は人気を博し、現在でも年末の定番ドラマとなっているほどです。なぜ、こんなに人気になったのでしょうか。それは、時代の流れとニーズがあったからです。人々はだんだん豊かになり、武家社会から法治国家へと変わっていく時代の流れが影響しています。 

 江戸幕府は武力による統治ではなく、ルールにもとづく法治国家を築いていきました。そのため、ルール違反をした浅野内匠頭は即日切腹、お家取りつぶしとなり、吉良上野介はおとがめなしでした。それに腹を立てた忠臣たちが仇討ちをするという物語ですが、ルールに制約されてうっぷんがたまっていた江戸の庶民たちにウケが良かったのです。 

 もっとも、忠臣蔵の話は、加来先生によれば9割がフィクションだと言います。討ち入りした日は雪も降っておらず、江戸幕府は浅野内匠頭に理由を尋ねたうえで切腹を命じています。赤穂藩には200人以上の家臣がいたのに、わずか46人ほどしか動いていないということから、仇討ちをしたのではなく、自分たちのメンツのために行ったというのが真相です。 

内蔵助流リーダーシップとは 

内蔵助流リーダーシップとは

 赤穂藩取りつぶしの連絡を受け、内蔵助が真っ先にしたのが藩札の引き換えです。領内のみで使える藩札は、浅野家が潰れれば価値がゼロになります。そこで、領民を安心させるため、額面の6割で幕府が発行するお札と交換を行ったのです。 

 身分の低いものは藩が潰れれば、これから生活が大変になるため、残された財産の多くを分け与えるという方針も打ち出しました。城を引き渡した後は浅野内匠頭の弟を立て、お家再興を目指そうとしていました。内蔵助はお家再興派で、江戸にいた浅野内匠頭の近くにいた家臣たちは仇討ち派で、内蔵助はこれを止めようとしていたのです。ですが、仇討ちしたい勢いが止まらず、さらにお家再興の道も断たれたことから討ち入りを決めます。 

 討ち入り前には神文返しを行いました。内蔵助に命を預けるといった誓約書でしたが、内蔵助にはもはや討ち入りの意思はないと伝えさせ、返却を受けられるようにお膳立てしていました。本当は死にたくない人は討ち入りしなくていいという内蔵助の想いが詰まった行動です。履歴書の性格には、冷静沈着、忍耐強い、慎重派が加わり、リーダーとて、すさまじい実行力があったことは確かです。 

討ち入りの実行 

討ち入りの実行

 討ち入りに参加した赤穂浪士はほとんどが下級武士でした。味方に一人も犠牲者を出すことなく、吉良上野介の首を打ち取った内蔵助の本当の意図はなんだったのでしょうか。吉良への仇討ちではなく、幕府への反抗であったのではとも目されています。 

 それに対して、幕府は吉良家も取りつぶしにした一方、赤穂浪士全員に切腹を命じました。本来、法治国家であれば、赤穂浪士はルール違反者として全員打ち首のはずですが、武士として切腹を命じています。これは幕府が幅を利かせていた商人たちに武士としての威厳を示すために使われたというのが、加来先生の見立てです。 

『忠臣蔵』の主人公・大石内蔵助 編まとめ 

 時代を超えて人気がある忠臣蔵のヒーロー、大石内蔵助は平和な時は役に立たないが、いざとなると大きな力を発揮する人物だったと言います。本当にそうだったのか、番組でご確認ください。 

偉人・素顔の履歴書 第9回「『忠臣蔵』の主人公・大石内蔵助 編」はBS11+で配信中

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