今回の京都探訪では、常盤貴子さんが香りをテーマに京の町を巡ります。歴史ある香道の伝統に触れつつ、現代的な香りの世界も体験。お料理とのマリアージュや創作線香など、五感で楽しむ京都の香りの旅へご案内します。
沈香の歴史
一見何の変哲もない木片、それが「沈香」です。日本書紀によると、595年に淡路島に流れ着いた沈香を島民が焚いたところ、驚くほど良い香りが広がりました。これが朝廷に献上され、日本の香り文化の始まりとなったのです。
やがて貴族の間で娯楽や教養として広まり、平安時代には個人の趣向による伏籠などが作られるように。日本の香り文化は独自の発展を遂げていきました。
常盤貴子さんと巡る京の香りの旅
常盤貴子さんが20代の頃、京都で出会ったお香屋さんが香りの世界への扉を開きました。それまでお線香しか知らなかった常盤さんは、奥深い香りの世界に驚き、たちまち魅了されたそうです。
特に香りと茶道の関わりは深く、茶室でのおもてなしに欠かせない存在です。一真庵では、茶道家の千葉吉美さんから、香りが茶会のテーマや亭主の趣向を表現する手段として用いられてきたことを学びました。香りを収める小さな容器「香合(こうごう)」は、美しい絵柄とともにお茶席の会話を彩るアイテムとしても親しまれています。
京都御所近くのお香屋さんへ
続いて訪れたのは、京都御所の近くに位置する創業300年を超える老舗・松栄堂です。御所の水や氷の管理を担っていた創業者が始めたこの店は、今では茶道の各家元や京都の寺社の御用達となっています。
店主の話によれば、日本では香りの原料となる自然素材は少なく、東南アジアから伝わった香木を基に、四季に合わせた香りが生み出されてきたそうです。例えば夏には蓮の花、秋には紅葉をイメージした香りを調合し、季節の香りを楽しむ文化が育まれたとのことです。
匂い袋の専門店へ
次に訪れたのは、1855年創業の匂い袋専門店・石黒香舗です。現在、5代目が独自のレシピで作り上げる匂い袋は、常盤さんも20年来愛用しているお気に入りの一品です。
匂い袋は、かつては着物や防虫、防臭用として使われていましたが、現在ではルームフレグランスとしても人気です。
石黒香舗の特徴は、実演販売にあります。好みの柄と香りを選び、その場で作ってもらえるサービスが魅力です。香りが薄くなれば、詰め替えてもらうこともできます。
「京香りに触れる春 -聞いて見て食する香り-」まとめ
今回の京都の旅では、香道の文化や歴史、伝統を学びながら、現代的な香りの楽しみ方まで幅広く体験しました。常盤貴子さんおすすめのカフェや創作線香の専門店、驚くほど酸っぱいレモンゼリーなど、見どころ満載の内容となっています。気になる方はぜひ番組をご覧ください。