京都府最北端、丹後半島の大半を占める京丹後市。美しい海と豊かな森に囲まれたこの地には、古代から続く「ものづくり」の文化が今も色濃く息づいています。今回は常盤貴子さんが京丹後を訪ね、自然と伝統が調和する贅沢時間を体感しました。
案内役を務めるのは、京丹後の魅力を世界に発信する『Tangonian』代表の長瀬啓二さん。常盤さんは「青空が美しい」と感動の面持ちで、京丹後の旅をスタートさせます。
丹後ブルーの染色工房

最初に訪れたのは、網野町浅茂川にある小林染工房。染職人・小林知久佐さんが手がける「丹後ブルー」は、京友禅の技法で丹後の海と空を映し出すようなグラデーションが魅力です。常盤さんはその染色工程を目の前で見学し「集中力と技術に圧倒されました」と絶賛。実際に羽織った丹後ブルーの着物姿は、まさに海を纏うかのような美しさでした。

日本刀を鍛える若き職人たち

次に向かったのは、日本刀の鍛錬を行う「日本玄承社」。黒本知輝さんをはじめとする若手刀鍛冶たちは、東京から移住し、京丹後の地で刀づくりに励んでいます。松の炭を使って1300度に熱した玉鋼を、繰り返し叩いて鍛える伝統技法。完成した刀には凛とした迫力が宿り、常盤さんも「日本刀には魂が入っているという言葉の意味がわかる気がした」と語ります。
民谷螺鈿の螺鈿織

続いて訪れたのは、貝殻を糸に織り込んだ帯で世界的に知られる「民谷螺鈿」。2代目の民谷共路さんが受け継ぐ技法は、サザエやアワビなどの貝殻を0.1ミリ以下に加工し、和紙に貼り、糸として織物に仕立てるというもの。手仕事の極致とも言える工程を間近で見た常盤さんは、「海のきらめきそのもの」とその美しさに見とれていました。
森が育てる香り ― クラフトジンの蒸留所

森に囲まれた「京丹後舞輪源蒸留所」では、若者2人が京丹後の恵みを生かしたクラフトジンを製造中。自生するジュニパーベリー(ネズミサシ)やクロモジ、自家製の蜂蜜を取り入れたオリジナルのジンは、まさに「森を飲む」ような体験でした。常盤さんは香りに驚き、「京丹後の自然の懐の深さを感じた」と感動の表情を見せていました。
魚菜料理 縄屋の薪火料理

最後に訪れたのは、予約困難な人気店「魚菜料理 縄屋」。料理人・吉岡幸宣さんが薪火で仕上げるコース料理は、京丹後の食材の持ち味を引き出した逸品ぞろい。土鍋ご飯の“煮えばな”や、サザエと万願寺唐辛子の“ヤドカリ仕立て”、天然すっぽんの煮物、薪で焼いたおこげのあんかけまで、すべてが初めてでありながら、どこか懐かしい味。常盤さんも「どれも心に残る料理」と舌鼓を打ちました。
海が紡ぐ極上の京丹後 -絶景×美食×刀剣- まとめ
海、森、ものづくり、食──すべてがつながりあって生きている京丹後。常盤貴子さんは、「心が深呼吸するような時間でした」と締めくくります。京丹後の豊かさを五感で感じる45分間、ぜひご覧ください。