太田和彦さんが年末の浅草で絶品料理を堪能!

太田和彦さんが年末の浅草で絶品料理を堪能! 酒×食

 太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選の第124回は、師走の浅草で絶賛の創作料理を堪能します。下町風情が残り、海外からの観光客にも大人気の浅草。そんな浅草の年の瀬におすすめの居酒屋をご紹介します。 

浅草の街並みから浅草寺へ

 浅草を訪れた太田和彦さんの師走の居酒屋散策のスタート地点は、地域の新たなランドマークとなっている東京スカイツリーの第一展望台。新旧が調和する浅草での散策がスタートしました。隅田川沿いや浅草松屋デパートの時計台なども見て周ります。浅草といえば、国内外を問わず多くの人が訪れる人気の観光スポットの一つです。

 その中核を担い、多くの人が参拝に訪れ、仲見世通りの散策を楽しむ浅草寺は、東京最古のお寺で、1400年近い歴史を持ちます。師走の浅草で、今年1年の感謝を込めて参拝し、来年の運勢を占うために、おみくじを買いました。結果はなんと大吉です。

浅草寺でおみくじを引いた太田和彦さん

浅草で喜劇の碑に触れる

 浅草寺の周辺は今でも昔ながらの下町の雰囲気を残し、江戸の粋を感じられる地域です。浅草というと雷門のある浅草寺と下町情緒がイメージされますが、江戸時代はこの辺りに奥山という娯楽街がありました。日本のエンターテインメントの発祥の地とされ、テレビが登場する前から喜劇で人々を笑いに包んでいました。

 浅草寺の境内には喜劇人の碑が建てられています。笑いと喜びを与えてくれた喜劇人たちに敬意と感謝の気持ちを込めて、昭和57年に建立されたものです。題字は、晩年は味のある役者として活躍しましたが、喜劇俳優として名を馳せた森繁久彌さんが書かれたものです。碑の裏面には、歴代の喜劇人の名前が刻まれています。浅草の通りにはエンターテインメント人をはじめ、浅草に所縁のある有名人の手形がはめ込まれた場所もあります。手ぬぐい専門店かまわぬに立ち寄り、お正月用に新しい手ぬぐいも手に入れました。

ディープな浅草散策

 浅草寺の裏手には観音堂裏と呼ばれるエリアがあります。ディープな浅草を感じられるスポットで、浅草の旦那衆をはじめ、地元民が夜な夜な通う酒場街です。その一角に、太田和彦さんお気に入りの居酒屋ぬる燗があります。 

観音堂裏と呼ばれるエリアにある太田和彦さんお気に入りの居酒屋ぬる燗

 2004年創業で、選りすぐりの日本酒と店主が手作りする肴がおいしいお店で、店主の近藤謙次さんが一人で切り盛りしています。年の瀬の酒を楽しむために、やってきました。全国津々浦々の銘酒と、全国各地から取り寄せた新鮮な魚介類や肉などを使った肴が楽しめます。いずれも、店主が選りすぐったものです。年の瀬の酒は、東京の日本酒が良いとのことで、多満自慢の熱燗純米をいただきます。

 多満自慢は、東京都福生市にある酒蔵、石川酒造の銘酒です。東京の地で地下天然水で仕込まれており、文久三年から続く伝統の技術で醸造されています。季節限定の味わいがラインアップされており、熱燗純米は秋・冬限定の昔ながらの日本酒の味を楽しめる1本で、熱燗にすると米の味が引き出されます。酸味が立っておいしいと、太田和彦さんも気に入ったご様子です。この日のお通しは、魚のすり身を使った温かいしんじょうです。どこの店で食べるよりもおいしかったと、太田和彦さんが最初に注文したのは新鮮なかつお刺しでした。透き通るような純粋な味と瑞々しさが味わえる、太田和彦さんを虜にするかつおの刺し身です。蒸し牡蠣オイスターオイル漬けなど、店主が手間暇かけて作り出す料理が並びます。

蒸し牡蠣オイスターオイル漬け

 次に太田和彦さんが注文したのは、煮干しと冷たい冬瓜梅干し煮です。渋いチョイスですが、おいしい日本酒のアテには最高です。枯れた煮干しにマッチする日本酒として、京都木下酒造の玉川純米酒ひやおろしの熱燗をいただきます。家で食べられそうで、食べられなさそうなくらいのツマミがいい、といった話をしながら、店主と相対でゆるりとした時間を楽しみます。太田和彦さんいわく、居酒屋の原点が楽しめる場所です。褒め言葉をもらった店主の近藤謙次さんにとっては、太田和彦さんの本が原点だということです。今年の締めくくりに最高の肴と美酒に、太田和彦さんも酔いしれました。

尾張屋で年越し蕎麦

 尾張屋は幕末の1860年に創業した老舗の蕎麦屋で、著名な文豪の永井荷風も戦後に通い詰めた常連の一人です。太田和彦さんは、尾張屋自慢の天ぷらそばを年越し蕎麦にいただきます。

尾張屋自慢の天ぷらそば

 蕎麦の香りが漂い、大きな海老が2尾も乗った天ぷらそばを食べながら、永井荷風先生にあやかって、良い本が書けるようにとお願いした太田和彦さんでした。ちなみに永井荷風は、かしわ南蛮一択だったそうです。1年の締めくくりに平和を祈ってお別れです。居酒屋があるのは、平和の象徴、そんな言葉が印象に残りました。

第124回「師走の浅草で絶賛の創作料理を堪能」まとめ

 観光地として知られている浅草も、裏手に入ると、まだ知らないスポットがたくさんあります。観音裏というディープな酒場街でお気に入りのぬる燗で、日本酒の熱燗と、店主自慢のおいしい肴の数々を堪能し、最後は老舗の尾張屋で年越し蕎麦をいただきました。

太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選 第124回「師走の浅草で絶賛の創作料理を堪能」はBS11+で配信中

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