今回は常盤貴子さんが、京都に残る名建築を訪ねる旅へ出かけます。案内役は京都工芸繊維大学名誉教授の中川理さんです。大正から昭和初期に建てられた洋館や住宅を巡り、当時の建築家たちが追い求めた理想の住まいとはどのようなものなのか味わいます。
憧れの「大丸ヴィラ」に見る昭和初期の優雅な暮らし
最初に訪れたのは、京都市の有形文化財に登録されている大丸百貨店創業者の邸宅「大丸ヴィラ」です。1932年（昭和7年）に建てられたこの洋館は、アメリカ人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計によるもの。重厚な石造りの車寄せや優美なステンドグラス、チューダー様式を忠実に再現した外観など、随所に西洋建築の粋を集めた建物です。
番組ではサンルームや食堂、書斎、寝室、客室についても解説されています。名邸に興味のある方はぜひ番組をご覧ください。
「待庵」で出会う利休の美意識
続いて大山崎町にある国宝の茶室「待庵」へ。室町時代後期に千利休が秀吉のために設けた茶室として知られ、草庵茶室の原型と言われています。
中川先生は「狭い土壁の閉鎖的な空間に、究極のスタイルを作り上げた」と評価し、常盤さんは「ここで利休と秀吉が向き合っていたのかと思うと、歴史のロマンを感じる」と感想を述べていました。
和と洋の融合が見事な「聴竹居」
待庵から歩いて数分のところには、日本で初めて茶室を設計した建築家・藤井厚二の邸宅「聴竹居」があります。1928年（昭和3年）に建てられた聴竹居は、和と洋を見事に融合させた住宅です。椅子と畳の生活を共存させるため30センチの段差を設けたり、夏を快適に過ごすための換気システムを備えたりと、随所に工夫が施されています。
「住宅は楽しくないといけない」というコンセプトのもと、現代の住宅にも通じる機能性とデザイン性の高さを兼ね備えた空間に、常盤さんも驚きの声を上げていました。
森に佇むカフェ「茂庵」
番組後半は京都市左京区の吉田山にあるカフェ「茂庵」を訪問。大正時代に建てられたこの建物は、実業家の谷川茂次郎が茶会の社交場として建てたもので、現在は予約優先で営業しているカフェとして親しまれています。
京都盆地の絶景を望みながら、コーヒーや紅茶、抹茶などをいただくことができます。
「訪ねてみたい京の名邸 －限定公開の住宅遺産－」まとめ
京都には、今なお大切に守り継がれている建築の宝物が数多く残されています。ここで紹介しきれなかった藤井厚二設計の「旧喜多亭」、展示されている美しい欧家具など、ぜひ番組で限定公開の住宅遺産をご堪能ください。
